H様 |ディアナコート上原(渋谷区上原)
高級邸宅街として知られる渋谷区上原。駒場公園や東大にも近い閑静な邸宅街のなかに建つディアナコート上原は、細部まで意匠にこだわって設計され、上質な時間を演出するための本質を追求したモダン邸宅です。
植栽とガラススクリーンを組み合わせたエントランス、素材感のある天然石の壁や錆鉄のオブジェ、高い天井から吊るされたガラスシェードのペンダントライトを配したエントランスホールなど、パブリックスペースの設えにも贅をつくした、最上級の住まいを実現しています。
吹き抜けの大空間が広がるエントランスホールを入って最上階へ。毛足の長い絨毯が敷き詰められた内廊下を抜けて、H様ご夫妻のお宅をお訪ねしました。じつはご入居当時にも『SUMAU』で取材をさせていただいたこともあり、8年間お住まいになって、あらためて住み心地をお聞かせいただくことにいたしました。
H様ご夫妻のお住まいのドアを開けた瞬間、目に飛び込んでくるのはエントランスのガラス越しに見える緑の植栽。まるでアートのようで、相変わらず息を呑むほど美しい演出です。
「玄関は大切なお客様をお迎えする空間なので、サプライズを用意したかったんです。入居した直後に千葉県の植木屋さんまで植栽を見に行って見つけた五葉松は、大きさがちょうどよく枝ぶりも美しいので、とても気に入っているんですよ」(奥様)
H様ご夫妻は、駒場公園からも近い閑静な住宅街という立地と、お住まいのバルコニーから都心のビル群を一望できる眺望が気に入って、2006年にご入居されました。ご自身も商業施設などの空間プロデュースを手がけている奥様が、間取りからコンセントの位置、床、壁、天井の素材や仕上げまで、徹底的にこだわって設計を変更したお住まいです。
「妻が練ってくれたプランをベースに、細部までふたりでチェックしました。無駄なものをそぎ落としていく日本の美意識のいい部分がうまく採り入れられていて、わたしたち夫婦が活き活きとして見える空間になっていると思います」(ご主人)
欧米のようにマスターベッドルームを「見せる部屋にしたい」と考えたH様ご夫妻。2室を1室として広いプライベートルームとして、奥にエクストラキングベッドを配置。アメリカ人の日本画家に「天井まである水墨画の屏風」を依頼し、ヘッドボードとして飾っています。
広々としたリビングダイニングからマスターベッドルームまで途切れずにフローリングをつなげることで、住まい全体の一体感を生み、美しい「景色」を創り出しているのです。
8年間暮らしてみて、いい住まいだなという気持ちがますます強くなってきたというH様ご夫妻。
快適に暮らし続けられているのは、自分たちの暮らし方に合わせてさまざまな設計変更をしているというだけではなく、モリモトのデザインとクォリティに対する意識がサッシやドアノブなど細部にまで行き届いている点が大きいと実感されています。
「とにかく住み心地がいいので、海外旅行でラグジュアリーなホテルに泊まったり豪華客船でクルーズしたりしても、いつも“やっぱりこの家が一番いいね”と主人とふたりで話すんですよ」(奥様)
ディアナコート上原での暮らしがとても気に入っていらっしゃるH様ご夫妻ですが、最近、同じ建物内の低層階のお部屋をセカンドハウスとして購入されました。仕事を引退されたご主人がゆっくりと本を読める書斎をつくりたいと考えたことがきっかけでした。
メゾネットタイプのお部屋は、上階のスペースを書斎に、下階は多目的に使えるスペースにリフォーム。メゾネットならではの空間の違いにも拘ってみました。いまのお住まいと同様、奥様がデザインを手がけました。
書斎は、窓の外にパブリックスペースのグリーンも見え、有機的で寛げる空間です。書棚やデスク、テーブルなどは、奥様がデザインしてオーダー。ダークなウォールナットを使ってクラシックな雰囲気に仕上げました。
「落ち着いて資料を読んだり原稿をまとめたりできる書斎にしようと思いました。書斎の壁に円空仏の写真を飾り、吹き抜けになった階段の壁面に東大寺の管長に書いていただいた軸をかけることで、和の雰囲気も持たせています。日本の古代史から人類学へと、好奇心旺盛で多趣味な主人らしい空間となっていると思います。」(奥様)
下のフロアは、一転してカジュアルなインテリアに。2室をつなげて広めの1室にして、フローリングだった床は、床暖房を施した上でアイボリーの絨毯を貼り、部屋全体を明るいトーンで統一しました。玄関から部屋に入る「ドア」をガラスのスライドタイプにしてバルコニーまでの抜け感を演出、奥行を感じさせると同時に玄関の閉鎖感をなくしています。また。壁の一面を鏡にすることで空間の広がりも感じるつくりとなっています。
「主人の書斎は目的がはっきりしていましたが、こちらはさまざまな用途に使える“機能的で快適な部屋”にしたかったんです。鏡を見ながらちょっとしたエクササイズをしたり、テーブルを出して椅子を並べてミーティングスペースにしたり、スクリーンを降ろして映画を観たり。クローゼットには寝具も収納し、ゲストルームとしても使える多目的空間となっています。」(奥様)
日常的に使う空間ではありませんが、デザインには妥協することなくひとつひとつ吟味して素材や調度を選んでいます。木製の折り畳み椅子は、イタリア製のものを発注。納品まで4ヵ月かかったそうです。
「たとえ別荘を持っていても、実際に行けるのは年に数回。しかも、観光をするわけでもなく、部屋の中で本を読んでいたいのですから、わたしたちにとっては住まいに近いところに“非日常”の空間を持つほうがいいだろうと考えました。この建物は本当に気に入っているので、住まいと切り離された空間として同じ建物内に書斎を持てたことはこの上ない幸せです」(ご主人)
ディアナコート上原で「日常」と「非日常」の空間を往き来しながら暮らしていらっしゃるH様ご夫妻。これからも、変わることなくおふたりですてきな時間を紡いでいかれることでしょう。ディアナコート上原とともに歩まれる人生は、ほんとうにうらやましいと思える暮らし方でした。
「インテリジェンスとトレンドの融合」をテーマに、上質な時間を演出する高品質な空間をデザインした「ディアナコート上原」。駒場公園にも近く高級邸宅街として名高い、渋谷区上原の閑静な邸宅街のなかでも存在感を放った建物であり、細部まで意匠にこだわって設計され、一切の妥協を排して本質を追求した邸宅である。日本を代表する空間デザイナーの一人、藤原益男氏が一つひとつの素材はもちろん、素材の組み合わせやスタイリングまで徹底的に吟味し、緻密に計算して生み出した。いつまでも豊かな人生を描き続けるための、「恒久的な上質」を表現した住宅になっている。総戸数47戸。2006年完成。