株式会社モリモト

「さまざまなお宅のコーディネートや工夫を拝見するのが楽しみで、マンションを購入してからもSUMAUの“モリモトに暮らす”は欠かさず読んでいます」とおっしゃるＳさんのお宅は、ピアースコード目黒洗足のメゾネットタイプの一室。なかでもリビングダイングは、「広々とした吹き抜けとらせん階段の組み合わせに魅力を感じて、購入を決意した」というほど、お気に入りの空間です。ところが、いざ家具を探すためにインテリアショップをまわりはじめてみると、思いのほか選ぶのがたいへんであることに気づきました。原因は、Ｓさんご夫妻がいちばん気に入っていたらせん階段。部屋のほぼ中央にあるため、家具のサイズや配置に大きな制約ができてしまうのです。
「家具選びにこれほど苦労するとは思ってもいませんでした。Ｌ字のソファがほしいと思っていたんですけど、幅が広くなるとらせん階段と干渉してしまうし、天井の高さを活かせるような棚を探しても、かなり奥行きがあるものしかなくて圧迫感が出てしまう。インテリアショップを何軒まわっても“これだ！”と思えるものには巡り合えず、困っていました。そこで、友人の空間デザインの会社に相談することにしました。」（奥様）
家具選びに行き詰ったご夫妻は、デザインプロデュースユニット“ｓｕｎｎｉｎ（サンニン）”の野崎正浩さんに相談を持ちかけます。野崎さんは、Ｓさんがどんなデザインが好きなのか、どんな暮らし方をしたいのかをていねいにヒアリング。オーダーメイドの家具を既成のものと組み合わせ、個性的な空間を最大限に活かす提案をしました。
「たとえば、ソファはなぜＬ字がいいと思っていたのか突き詰めていくわけです。ゆったり寛ぎたい、友人が遊びに来たときにみんなで座りたい、という理由だったので、“それならＬ字でなくてもソファと同じ高さのベンチをつくればいいですね”と。しかも、二つの椅子をはめこむようにつくってくれたので、はずして単体の椅子にもできるし、オットマンとしても使える。Ｌ字のソファよりずっと使い勝手のいいものになりました」（ご主人）
吹き抜けを活かした書棚も、高さと強度のバランスをとりながら、できる限り奥行きを浅くしたオーダーメイドのものを設置。全体の統一感を出すため、同じ材質でつくったテレビボードとバーカウンターを配置しました。 とくに気に入っているのは、バーカウンターだそうです。
「休日にカフェで仕事をすることが多かったので、自宅にもそんな空間がほしかったんですね。書斎をつくることも考えたんですが、せっかく家にいるなら、いちばん気に入っている吹き抜けの空間で過ごしたいじゃないですか。それで提案してもらったのがこのバーカウンターです。デザインの面でも空間を引き締めているし、このカウンターがなかったらこの住まいは成立しないと思います」（ご主人）
じっくりと時間をかけ、空間のコンセプトやデザインについて野崎さんと徹底的に話し合って生まれたリビングダイニング。お気に入りのこの空間で、Ｓさんご夫妻はかけがえのない時間を過ごしているのです。