「カスタリア都立大学」は、もともとは1968年に竣工した築38年の物件である。そのリファインのポイントをあげてみよう。まず老朽化という問題を単なる内外装の改修に終わることなく、現在の耐震基準にあわせて構造を補強した。東側にエントランスホールを設け、同時に駐車場の壁を廃し開放感を演出。モノトーンの共用廊下は明るくモダンな空間に。住戸は2DKを広い1DKに変更。引き込み戸を採用するなど入居者のライフスタイルも考慮している。また、浴室やトイレもリフレッシュし清潔感のある水回りを提案。環境・安全・デザイン・ユーザビリティにもこだわった社会的意義が評価され、受賞となった。
株式会社青木茂建築工房 |
リファイン工事後 | リファイン工事前 | |
「代官山プロジェクト」は、恵比寿・代官山という地域性から想起されるように、住宅利用、自宅兼事務所利用、事務所利用に対応できる都心でのライフスタイルを考慮したプランニングが特徴。駒沢通りからも見えるタワー棟は東側に開けた眺望が満喫できるようなレジデンシャル・プラン。高層棟の独創的な建物形状を実現するためにウイークポイントとなる揺れに対する制震システムを導入しているが、その構造上の必然を逆にデザインとして昇華させ、室内に張り出したプレースダンパーをあたかもインテリアの一部としている。しかもプレースダンパーの内部はなんと収納空間となっているのだ。テラス棟はSOHOや事務所利用を考慮、1階住戸については通りに面した独立玄関を配し、パブリックスペースとプライベートスペースを分離しやすいようメゾネットプランを採用している。建物全体としては、居住者のコミュニティスペースともなる屋上庭園など緑化部分を低層棟屋上に設けるなど、環境に配慮しつつ空間を最大限活用するプランとしている。土地有効活用と日影規制という課題をデザインと構造で解決したタワー棟、そして都市温暖化の軽減と失われつつある住民同士のコミュニティの場ともなる低層棟の屋上庭園という、時代性のある二つの提案が評価された受賞である。
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