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都営三田線で大手町から5駅、お隣は巣鴨駅という立地の文京区千石は、山手線の内側に位置する正統なる「山の手」。マクドナルドのある千石一丁目の交差点を中心に東は本駒込、南は白山に本郷と、江戸の武家屋敷の面影を多く残す一帯、また西は小石川から茗荷谷、池袋に通じ、いずれも日本屈指の名門校が集結する文教エリアです。今回は千石駅から徒歩10分、江戸時代の代表的な大名庭園「六義園」を起点に、「東京ドーム」「ラクーア」のある後楽園まで4kmほどの道のりをぶらぶらと散歩してみることにしました。
マクドナルドの交差点から白山通りを渡り1本北側の筋を入ればそこはたちまち閑静な住宅街。お洒落なイタリアンレストラン「RISTORANTE Flora di Mare」や瀟洒な大邸宅が並ぶ道をしばらく進むと、左手にレンガ塀に囲まれた美しい木立の一角が姿を現します。ここ特別名勝「六義園(りくぎえん)」は、徳川5代将軍綱吉の側用人・柳沢吉保が自らの下屋敷として造った、和歌の趣味を基調とした回遊式築山泉水庭園。約2万7千坪の広大な園内では、春には桜、秋には紅葉の見事な景観が楽しめます。
「六義園」に面し、古くは「大和郷(やまとごう)」と呼ばれていた邸宅地から不忍通りに出るとすぐ向かい側には大正13年に設立された「東洋文庫」が、そしてその並びには歴史的文化財とは全く対照的な存在感を放つ「文京グリーンコート」があります。ここはビジネスタワー、住居棟のほか、イタリアンレストランやコーヒーショップ、書店、郵便局や「大丸ピーコック文京グリーンコート店」などが入ったショッピングモールもある複合施設で、ビジネスパーソンから赤ちゃんを抱っこした若いママたちまで、幅広い層の人たちで賑わう文京区ランドマークのひとつになっています。
「文京グリーンコート」住居棟側から村田学園、駕籠町(かごまち)小学校の前の道を通って旧白山通りを渡ると、千石、白山、小石川と続く緑豊かな丘陵の街並みが続きます。千石一丁目の住宅地の中を歩いて行くと、ピンクのレンガが目印の手作りパンのお店「de・ヌーボー」を発見。同店一押しの生クリームあんぱんは、雑誌やメディアでも紹介され大人気だそうです。さらにそのまま細い路地をくねくねと抜けていくと、今度はレトロ感漂う木造の建物に遭遇。ここ「進開屋」は登録文化財にも指定された昔ながらのお蕎麦屋さん。ちょうど12時をまわるところだったので、こちらで昼食をいただくことに。昭和にタイムスリップしたような懐かしさあふれる店内に、ランチの常連さんと思しきお客さんが次々と入ってきます。頭上の壁に飾ってあった歴代のお札が入った額を見て子どもの頃を思い出しながら、プリプリの海老がさっくり揚がった天ぷらそばを堪能しました。

1.RISTORANTE Flora di Mare　2.六義園　3.東洋文庫
4.文京グリーンコート　5.de・ヌーボー　6.進開屋

心もお腹も満たされたところで、散策を再開。林町小学校の前を通り抜けたあたりから目の前の景色が急に開けてきて、千石の街が高台に位置していることを実感します。左手に簸川神社(ひかわじんじゃ)の社を見ながら急坂を下り、左に曲がると突き当たりには広大な小石川植物園が見えてきます。この植物園と簸川神社の間を通る網干坂(あみほしざか)が千石と白山の境界線。そのまま広い通りに出て窪町東公園の信号を渡ると、町名は白山から小石川に変わります。可愛いマトリョーシカが目印のロシア料理店「ソーニャ」と公園の間の並木道をプチ森林浴しながら歩き、右手に徳川家ゆかりの庭園「占春園」と「筑波大学学校教育部」の図書館を、左手に「旧磯野家住宅」を見て緑の中を続く緩やかな坂を上がりきると、ほどなく春日通りの茗荷谷駅前に出ます。
茗荷谷に来たらぜひ寄りたいのが、わらびもちが有名な和菓子屋さん「一幸庵」。「お菓子調進所」と書かれた暖簾をくぐると、格の高さを感じさせる佇まいの店内に季節感あふれる上品なお菓子が並んでいます。しっとりとした和の風情に目も心も和んだら、桜並木で有名な播磨坂の遊歩道をしばし散策。並木道の両側にはお洒落なカフェやレストランが並び、OLさんや学生がランチタイムを楽しんでいました。
播磨坂を越えて春日通沿いのスーパーマーケット「Santoku(三徳)」の前から文京区役所まで都バスで移動して後楽園へ。ここは「六義園」と並んで有名な大名庭園「小石川後楽園」と「東京ドーム」、そして遊園地、ショッピングに温泉もある都会のど真ん中のテーマパーク「ラクーア」という、江戸とTOKYOが劇的に融合している場所です。この日は平日でしたが、「ラクーア」の広場は噴水ショーを眺めながら語らうカップルや家族連れでとても賑わっていました。
しばらく遊園地のアトラクションを見たり、ウィンドウショッピングを楽しんでいるうちに日が傾き始めました。帰り際、「ラクーア」1Fにある輸入食材が多く取り揃うスーパーマーケット「成城石井」に立ち寄ります。ここから最寄りの春日駅より都営三田線に乗れば千石まではわずか2駅。充実した街歩きの満足感と心地よい疲労感に浸りながら、今夜は「成城石井」で調達したワインとオードゥブルでゆっくり大人のディナーを楽しむことにしました。